矢野絢子さん。


彼女に一番最初に出会ったのは、行きつけのレンタル屋だった。その店の注目歌手として、彼女の声は店内に響いていた。僕は「こんなストレートな声を出す人がいるんだ」ぐらいに感じるだけだったのだが、数日後に某歌番組でピアノとともに歌っているのを見て、CDを手に取ったのである。それが「てろてろ」だった。


彼女のHPを見る。てか読む。見ていただけば分かるが、彼女の人生観、世界観には圧倒される。他の人とは違う目をしているのか。曲の歌詞も同じ。彼女は僕にとって遠い存在なのかもしれない。でも、HPの言葉、そして歌詞が、いつも僕に寄り添ってくれるように感じるんだ。


彼女の曲で一番好きな歌。「ニーナ」。12分という長い歌である。1つの椅子を主人公にした歌なのだが、この12分を終えたとき、じぃん、と音がした。僕の体の中で。単調なメロディー。ピアノの音。目を閉じれば浮かぶ風景。そのメロディー性は森山良子の「さとうきび畑」を思い出させるが、きっと「ニーナ」も「さとうきび畑」も同じなんだと思う。そのメロディーに僕らを乗せて、その物語へいざなってくれるのだ。やさしく。


2曲の違いはなんだろうか。「さとうきび畑」は沖縄での戦争の悲惨さを訴える名曲だが、「ニーナ」が与えるメッセージとは?僕はそれは、あたたかさだと思う。主人公の椅子の周りには、いつもそれがあった。あたたかさが、人の凍った心をとかす。矢野絢子さんは、歌を通して、そのあたたかさを僕たちに与えてくれたのではないだろうか。


残念ながら、ここで再生するわけにはいかないのでぜひ購入orレンタルしてほしい。彼女のストレートな声に一瞬驚く人もいたが、それこそが彼女だ。いつか高知に行って、彼女の歌を生で聴きたいと思う。






レビュー書かせていただきました。なぜ書いたかというと、
4月13日、ミニアルバム「浅き夢」発売だから。
∩(^∀^)∩